西洋の古民家を思わせるヨーロピアンスタイルの住まい。無垢の木が醸し出す素朴な暖かさが持ち味の、Kさまのお宅です。
2019年春に、ご一家のアンティーク小物が似合うシャビーでお洒落なマイホームが完成しました。帯広の澄み切った青空に映えるシンプルな三角屋根が印象的です。屋根材は陰影のある立体的な質感と耐久性の高さが特徴のアスファルトシングル。2×6材を採用したツーバイフォー工法の住宅で熱交換換気を導入しています。
「ヨーロッパの片田舎に建つ使い込まれた住宅の何とも言えない味わい深さが好きなんです」とKさま。
どっしりとした木製玄関ドアを開けると、中世の古城を思わせるドーム天井の玄関。居住空間に通じるアーチ型の室内ドアにはアイアンの面格子が付いています。
西欧の住宅に興味を持ち始めたのは海外のドラマや映画がきっかけだったそう。間接照明付の丸みを帯びたニッチには旅先のロンドンで購入したアンティークのガラスボトルが飾られています。
「基本的にシャビーな感じが好き。映像の世界の中でいいなと思ったものも取り入れてもらって出来たのが今の住まいです」。
ホールを出ると、そこは大きな吹抜けのあるリビング。温かみのある質感の塗り壁、木製手摺のリビング階段が趣のあるノスタルジックな雰囲気です。フローリングは無垢のパイン材、窓は耐候性と断熱性に優れた木製輸入サッシを使用しています。
「長く、お洒落に、快適に暮らせるように、年月とともに味わいを増していくものを選びました。その方が大がかりなメンテナンスの必要がなく、長い目で見てコストを抑えられるのではないかと思います」。
水廻りの入り口はホールと同じアーチ型。リビングを挟み込むように配置したダイニングと洋室の出入り口も角が丸みを帯びた形状です。
踊り場付近が緩やかなカーブを描く階段。大工さんが無垢のパイン材を加工し、組み上げた昔ながらの手造りです。手間はかかりますが細かな部分まで面倒がらずにやってくれる職人さん達のおかげでcubeチセの「世界でたったひとつの家」が完成します。
アンティークチセで選んだランプシェードやアイアンの取っ手、ペーパーホルダーを使った1階のトイレ。壁に掛けられたシャビーなミラーは古い窓枠に鏡をはめ込んで造ったものです。
「デザインも魅力でしたが、見た目だけではなく基礎や構造がしっかりしているところ、何より1度で100%満足できる家造りをしてくれるというのを聞いたことがcubeチセさんにお願いした一番の理由です。経験豊富なインテリアコーディネーターが的確なアドバイスを下さったおかげで仕上がりは予想以上。120%満足しています」。
リビングの奥のダイニング奥の壁際には、扉付きの背の高い収納スペースを2つ設けています。「子供にも使いやすく、片付けの習慣が身につきました」。将来、物が増えた時のために「持ち物より多め」の収納を心がけています。
階段下に取り付けたのぞき穴があるアーチ型の可愛い扉。ここは人形やぬいぐるみがいっぱいの「ままごと部屋」です。「子供たちが小さいうちにしてあげたかった。大きくなったら収納スペースとして使います」。
水廻りにもKさんらしさが表現されています。タイル張りのキッチンは深い青がアクセント。Kさんが好きな色を使った市松模様のコーディネートです。
システムキッチンの扉も家の雰囲気に合わせて木製の扉に取り替えました。大型パントリーもあります。
お料理好きでお部屋のディスプレイもお上手なKさまですが、意外にも、お洗濯にちょっと苦手意識があるそう。「特に家族4人分の洗濯物を畳み、それぞれの収納場所に仕舞うのが1番大変でした」。
そこで生まれたのが、このプラン。カラフルなタイル張りの洗面スペースを中心に、左隣にお子さまの靴などを洗うスロップシンク付きのユーティリティ兼洗濯室、右隣のカーテンを開けると家族全員の衣類をらくらく収納できるファミリークローゼットが一直線に並びます。
「干した衣類をハンガーのまま、ファミリークローゼットに掛けるだけ。2階に運ぶ手間もなく、家事の負担が大幅に軽減しました。1階の水廻り近くに夫婦と子供2人の衣類をまとめて収納するスペースがあると、やはり便利ですね」。
階段をのぼりきると、吹き抜けを見下ろす渡り廊下に出ます。高いところが苦手なKさんのために手摺は通常より少し高めに。子供が握りやすく、造形的にも美しい手摺子の真ん中を細く絞ったデザインです。
渡り廊下を挟んで右側にフリースペースと主寝室、左側に2つの子供部屋を配置。吹抜けと繋がったフリースペースにはご夫妻の趣味であるギターとベースがディスプレイされています。
吹抜けとフリースペースを隔てる低い間仕切りは波打ち際を思わせる流線形。新婚旅行先のスペインで見たガウディの建物のイメージを取り入れてほしいとのご要望を反映しています。
子供部屋の前にあるニッチはそれぞれのイニシャルブロックでディスプレイ。
子供部屋は遊び心と実用を兼ね備えた収納付のロフトにしてあります。デザインは同じですがベースの色を変えることで子供達の個性が伺える可愛い仕上がりになりました。
「住んでみて『失敗した!』と思ったところが1つもない快適な家。猛暑続きだった夏でも、夜、窓を開けて涼しい空気を室内に入れ、昼間は閉め切っておけば、シーリングファンと扇風機で気持ち良く過ごせます」。
5月に帯広で38℃という猛暑を記録した日も、室内に居たために外の暑さに全く気づかなかったとか。「逆に肌寒い日も少し暖房すればすぐに暖まります。居心地がよすぎて出不精になるくらいです」。
木のぬくもりに包まれたリビングで、家族そろってのだんらんが、Kさまご一家の休日の過ごし方になりました。