手仕事のぬくもりを感じさせる漆喰の壁に、やわらかな明かりの灯るダイニング。「ここから眺める景色が好きなんです」と教えてくれたのは、ふたりのお子さんとこの家に暮らすOさん夫妻です。
「梁が見えて、視線が吹き抜けから上に抜けて…。夜、子どもたちが眠った後にここで仕事をしながら、これが自分の家なんだなぁとしみじみ味わっています」
元気いっぱい、動きたい盛りのお子さんを持つOさん一家ですが、部屋の中にはゆったりとした空気が流れています。
光の表情を楽しむ玄関ホール
設計・施工は帯広市のcubeチセ(担当:末守恭子さん)。外観は、白い塗り壁にアスファルトシングルの三角屋根を合わせました。外壁の角の部分には丸みをもたせ、優しい印象に仕上げています。
玄関は、光が放射状に広がるドーム型の天井です。壁には下地としてレンガを貼り、漆喰を粗めに塗ったことで複雑な陰影が生まれています。
隣のシューズクロークからは…
手洗い場(写真左)へと直行できるようになっています。
隣の玄関ホール扉(写真右)にはステンドグラスをはめました。アンティークな雰囲気が散りばめられた空間は奥様のお気に入りです。
ガラスの模様にもこだわって製作した室内窓。光の繊細な表情を楽しんでいます。
LDKは吹き抜けの天井に天窓を設置しました。
「天窓からは、昼間はもちろん、夜も月明かりが入ってすごく気持ちがいいんです」と奥様。冬は日光を取り入れて暖かく、夏はシャッターを下ろして涼しく過ごしています。
インテリアコーディネーターとデザインした室内は統一感も抜群
キッチン前には「将来、家事をしながら子どもの学習を見られるように」とカウンターを設けました。
ダイニングはリビングから少し奥まった場所に作り、落ち着いた空間に。
「この家で一番好きな場所です」と奥様が紹介してくれたのがこちらのキッチンです。曲線の美しい白いレンジフード(ヤマゼン)に白のタイルを合わせ、収納はオリジナルで製作しました。
「チセさんの家といえば素敵なキッチン、と建てる前から感じていました。造作の食器棚は手持ちの食器を見ながら、使いやすさも考えてデザインしています」
パントリーは外気取り込み式で、冬期は保冷庫として使えるタイプ。いただきものの野菜も新鮮なまま長期保存できます。
「この洗面所のタイルもそうですが、室内の照明や床材、スイッチなどはインテリアコーディネーターでもある末守さんに色々と提案してもらいながら決めていきました。どれも可愛くて、夫婦で時間をかけて悩んだのも楽しい思い出です」(奥様)
(写真左)ファミリークローゼットは着替えの動線を考え浴室近くに配置。
(写真右)階段下はお子さんのおもちゃスペースに。
2階ホールの一角には大人の仕事にも使えるデスクスペースを設けました。どの部屋からもデスクやトイレへのアクセスがよい回遊式の造りです。
子ども部屋には天窓からの光が注いでいました。
素材の質感、インテリアの自然さが魅力
家づくりについてのお話を伺いました。
住宅会社選びについて聞かせてください。
Oさん 可愛らしいデザインの家を希望し、住宅展示場や見学会で色々な会社の家を見ました。cubeチセを選んだ決め手は、可愛いだけでなく「本物」の良さがあると感じたこと。漆喰の壁や室内の木の質感、それからインテリアの組み合わせも自然で心惹かれました。
確かに塗り壁が表情豊かですね。何か秘訣があるのでしょうか?
末守さん しっかりとした厚みをもたせて塗っているのがいいのかもしれません。塗り方は一般的なものからオリジナルのパターンまで何種類もあるので、現場でお客さん立ち会いのもと「この場所はこういう塗り方でどうでしょう?」と部屋ごとに打ち合わせをしています。
それはイメージ通りに仕上がりそうです。工事現場はよく見に来ましたか?
Oさん 歩いて2分くらいの実家に仮住まいしていたので、しょっちゅう見に来ました。大工さんがとても気さくな方で「いつでも来てください」「もっと見に来ていいんですよ」と言ってくれるんですよ。仕事も丁寧だし、周囲への挨拶など配慮も素晴らしくて、ご近所での評判もよかったです。
住み心地はいかがですか。
Oさん 住み心地は最高です! 家中同じ温度で、窓際も全く冷えたりしないんです。サッシが木製なので熱が伝わりづらいし、目で見ても暖かな雰囲気でとても気に入っています。何よりも、あちこちに愛着がある気に入ったデザインの中で暮らせることが嬉しいですね。この家で、家族の時間を大切に過ごしていきたいと思っています。
写真 Commercial Photo / Movie SWITCH